齋藤シーサイドレディースクリニック

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齋藤シーサイドレディースクリニックへようこそ

今日10カップルに1カップルが不妊症と言われています。     子供が欲しいのになかなか妊娠しない、私は不妊症なのではないだろうか?     病院にいったらどんな検査をするのだろう? お金もかかりそう・・・       そう考えて悩んでいる女性や     もしかして俺に原因が? そう考えて悩んでいる男性もいるのでは?このホームページは不安を抱えている患者の皆様にわかりやすく情報を提供し、不妊症の理解を深めていただき、希望をもって治療に取り組んでいただくことを目的としいます。この言葉でバーチャル不妊クリニックというホームページをつくって10年がたちました本当はもっと早く不妊治療専門のクリニックを立ち上げるつもりでしたが産婦人科医不足でお産難民という言葉がニュースを賑わし私のような40代の医師ががんばって日本のお産を支えないといけないという使命でこの10年間は周産期医療の最前線で毎日救急車で搬送されてくる妊婦さんのため、そして、新しい出産の場の可能性を求めて九州バースセンターを開業し、助産師さんと一緒に自然なお産ができる施設を立ち上げ毎日奔走していました。その後福岡の病院で不妊症と不育症を専門にされている山下先生との出会いがあり、九州バースセンターのとなりに、体外受精、顕微授精までできる施設として齋藤シーサイド・レディースクリニックの不妊センターを2015年開業することができました。今後は初心を忘れず患者様のために誠実な医療ができるよう、自分の10年前に書いたバーチャル不妊クリニックをこうしてアップしました。今後共どうぞよろしくお願い致します

体外受精とは

 自然の妊娠では通常卵巣から一個の卵子が排卵されます。そして卵管の中で精子と出会い受精卵となり、その後子宮の中に移動し着床して成長します。それと比べて、体外受精という方法はまず卵巣を排卵誘発剤で過排卵刺激(強力な刺激)し複数の卵胞(3~10~20)を作ります。そしてその卵胞に針を刺して中の卵子を体の外へ取り出し(採卵)、培養液の中で精子と混ぜて(媒精)できあがった受精卵を再び子宮の中に戻す方法です。これによって卵管が詰まっている人や精子の少ない場合でも妊娠できる可能性があります。 しかし、体外受精をすれば絶対に妊娠するというわけではなく一回にかかる金額も高額です。外来での注射や超音波検査、実際の体外受精の料金を合わせると全国の平均でみても一回の治療に40~50万円かかります。妊娠する平均の回数は3回なので平均150万円は覚悟しなくてはいけません。もちろん一回で妊娠する例もありますが、中には何百万円も使ったが妊娠しないという例も出てきます。そのために体外受精は通常のタイミング法や人工授精法で妊娠しない場合の最終手段として行う治療です。不妊症患者のうち7割は通常のタイミング法や人工授精法で妊娠しますが、残りの3割は腹腔鏡手術や体外受精の方法が必要になります。そして、体外受精を他のどの方法でも妊娠しなかった場合の最終手段として行った場合はお産にまでこぎつけ子を得るのは十数パーセントしかありません。残りの人はもう他に方法がなくこれが現在の医療の限界となっています。

合併症などの危険性、予後

 過排卵刺激での危険性 卵巣過剰刺激症候群:hMG、hCGの刺激によって必要以上に卵巣が腫れてしまった状態です。この場合程度によって症状は違いますが、卵巣の腫れによる腹痛、腫れた卵巣がねじれた事で起こる卵巣の茎捻転、胸水、腹水の貯留、呼吸困難、尿がでない、肝機能障害、腎機能障害、血液の濃縮及びそれによる血栓症などを引き起こし入院や手術が必要になることもあります。死亡例の報告もあります採卵時の危険性 麻酔の事故(麻酔薬によるショック、呼吸停止など)卵巣と腸の癒着があった場合腸に針を刺してしまい腹膜炎を起こし手術が必要になることがあります。お腹の中の太い血管を針で刺した場合も開腹手術が必要になることがあります針を刺した膣壁の出血がひどい場合は縫合手術が必要になることがあります子宮外妊娠 自然妊娠の場合は1%前後ですが、体外受精の場合は10%前後と高率です。また自然妊娠ではほとんど無い子宮内外同時妊娠の可能性が0.8~2.9%あり妊娠後も注意が必要です。流産率 18~33%と施設によりばらつきがありますがこれは施設により体外受精の適応に違いがあるためです。また高齢の症例やハイリスクの症例を扱うほどその率は高くなります。自然の妊娠でも10~15%はあります。(40歳以上は40%前後)多胎 自然の妊娠では双子の確率は1%弱の率ですが、体外受精の場合は約20%の多胎率があります。双子の場合は41%の早産率で妊娠中の管理においても非常にハイリスクとなります。染色体異常 流産率が高くなる原因の一つとして染色体異常の率の増加が考えられていますが現在の時点では受精卵の時点で見分ける良い方法がありません。

体外受精の治療の内容

採卵のための術前検査採卵時に麻酔をかけるため、胸のレントゲン、心電図、採血、尿検査などの検査をします。過排卵刺激 正常女性は自然では1個の卵胞(卵子の入った袋)が、通常の排卵誘発剤の使用では2~3個の卵胞が形成され排卵しますが、体外受精のための排卵刺激は通常よりも強く5~10~20個の卵胞が形成され多くの卵子を採取します。子宮に戻す受精卵は1~2個ですので残りの受精卵は凍結して妊娠しなかった場合の次回分として利用できます。一回の採卵で数回の胚移植(受精卵を子宮に戻すこと)ができることになります。その反面、過剰な刺激のため卵巣過剰刺激症候群などの重篤な合併症を起こしやすくなります。hMG 150~300単位/日、hCG 5,000~10,000単位、テルロン、成長ホルモン(排卵刺激の反応の悪い人など)、漢方、スプレキュアなどを使用します。経膣超音波検査での卵胞のチェック卵胞の数や大きさを計測し、hMGの量を調節したり、hCG に切り替える時期や採卵の時期の予定をたてます。卵胞が3個以上できない場合や15mm以上の物ができない場合は妊娠の可能性が低いためその時点でいったん中止(キャンセル)とし、次回薬の量を変えたり、他の薬を併用したりしてやり直しにします。   採卵 静脈麻酔や局所麻酔を行って、経膣超音波で見ながら膣側からお腹の中の卵巣に針を刺して卵子を採取します。精子調整 元気の良い精子を集めて濃縮し、卵子と混ぜる準備をします。媒精 精子と卵子を混ぜ合わせて培養器に入れ精子と卵子の結合した受精卵を作ります。胚移植 出来上がった受精卵を子宮の中に戻します。胚凍結保存 胚移植に使わなかった残りを液体窒素の中で凍結させ保存し、今回妊娠しなかった場合の次回分とします顕微授精(ICSI) 通常の媒精では受精卵ができなかった場合、精子が非常に少ない場合、抗精子抗体を持っており受精卵ができにくいと予想された場合など、顕微鏡で見ながら卵子に針を刺して中に精子を強制的に注入し受精させる方法です。アシストハッチング 受精まではしたが子宮の中にうまく着床(子宮の壁にくっつく事)してくれずに妊娠しない場合、顕微鏡で見ながら受精卵に小さな穴を開けて着床を助ける方法です