不妊の原因チェックと検査(女性編)
Q1 生理不順がある。生理が無い。
排卵しにくいか、していない場合があります。排卵していても妊娠の維持に必要なホルモンの分泌が少ないことなどが考えられます。
Q2生理痛が年々ひどくなってきた。生理の量が年々増えてきた
子宮筋腫や子宮内膜症の可能性があります。
Q3 痛くてセックスができない
子宮内膜症、膣炎、精神的な要因による粘液の不足などが考えられます。
Q4 生理以外の変な出血がある
ホルモンのバランスの異常、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮体癌などが考えられます
Q5 クラミジアや淋菌などの性病にかかったことがある
卵子の通り道の卵管が詰まっている可能性があります
Q6 乳首をつまむとおっぱいがしみ出る
排卵を妨げるプロラクチンというホルモンが高い可能性があります。
Q7 中絶手術をしたことがある
子宮の内膜に傷害があったり(アッシャーマン症候群)、感染を起こして卵管が詰まっていたりする可能性があります。
Q8 年齢が高い(とくに35歳以上)
高齢になるほど子宮筋腫、子宮内膜症を持っている頻度が高くなります。年齢とともに成熟した良い卵子ができにくくなる場合や、排卵しにくくなる可能性があります。
Q9 お腹の手術(盲腸、卵巣嚢腫、腸重積など)をしていたり腹膜炎を起こしたことがある
手術や菌の感染による癒着のために排卵した卵子がうまく卵管の中に取り込まれない可能性があります。
Q10 強いストレスがある
職場のストレス、姑さんとの葛藤、睡眠不足、食事の偏り、喫煙、飲酒、無理なダイエット、急激な肥満など肉体的なストレス、精神的なストレスのどちらもホルモンの異常を来たしたり、排卵を妨げたりします。
不妊症の検査
検査を受ける女性の方へ
不妊症の検査、治療は時間とお金がかかります。そのために、私は検査と治療を並行して的確、最小限に行い無駄な時間、お金、肉体への負担をかけないように心掛けています。
そして、患者さん側は医師を信頼し相談しながら、根気よく治療を続けて頂くようにお願いいたします。
検査の流れ
初診で来られた方は、問診の後まず内診と経膣超音波検査を行います。そして、次回の子宮卵管造影検査の予約を行いホルモン、性病等の採血をして帰ります。次回受診時に子宮卵管造影検査を行い、その頃にはホルモン、性病等の採血の結果が出ており最小限の検査は終わります。その後はタイミング法などの治療を並行して行いながら性交後試験や必要であればさらに詳しい検査(腹腔鏡検査)の予定を立てていきます。
以下に検査の項目、その内容を記述しております。
内診
子宮の動き、大きさ等を診て子宮筋腫、子宮内膜症、子宮後屈などの診断を立てます。
経膣超音波検査
内診よりさらに詳しく子宮筋腫の位置、大きさ、卵巣腫瘍、排卵前後の卵胞(卵子の入った袋)のチェックなどを行います。
採血によるホルモン検査
妊娠の維持に必要なホルモン、排卵を妨げるホルモン等を調べます。
エストロゲン(卵胞の成長を助ける)、プロゲステロン(妊娠を維持する)、プロラクチン(母乳を出すホルモン、排卵を妨げる)、テストステロン(男性ホルモンで多嚢胞卵巣の時に高い値になる)、甲状腺ホルモン等。
LH-RHテスト
無月経の場合にその原因が脳の視床下部,下垂体あるいは卵巣のどこにあるか調べる検査。LH(黄体化ホルモン)を出させる注射を打った後(15分後,30分後)のLHとFSH(卵胞刺激ホルモン)の値で判断する。
性病の検査
クラミジア検査
子宮の入り口の細胞採取
クラミジア、淋菌は年々増えており卵管を詰まらせ不妊症や子宮外妊娠の大きな原因になっています。子宮頚管の細胞の採取や採血で調べます。
子宮卵管造影検査
不妊症の検査で必ず最初に行う検査です。卵管がつまっていればタイミングを合わせても、薬で排卵させても妊娠しません。膣の方角から子宮の中に造影剤を入れてレントゲン写真を撮り卵管の通り具合等を調べます。通りの悪い卵管を通す効果があり安いため私はリピオドールをよく使います。
通常の金属製の道具は痛みが激しいため、痛みの少ないシリコン製のもの(ソフト卵管造影カテーテル)を使っています。近年は超音波造影剤が利用されレントゲンでなく超音波で卵管の通り具合を調べることもできます。
腹腔鏡手術
お腹に小さな穴を開けて胃カメラのような細いカメラで覗きながら不妊症の原因を探し、子宮内膜症や性病による癒着があれば剥離したり、子宮筋腫、卵巣嚢腫などの手術をしたりします
性交後検査(ヒュウナーテスト)
排卵の時期に性交後受診してもらい子宮の入り口で精子の動きが止まっていないか、ちゃんと子宮の中まで精子が入っているかなどを調べます。